大笑いのNHK BS ディベート(2005年6月分)

NHK BS ディベートで20代の「日韓の課題 いま語りたい」なるディベート番組があったそうだ。
私は諸々の事情により、BSを生で見られなかったのでDVDに録画したものを入手した。

別の作業をPCで行いながら、PCのDVDプレイヤーで視聴した。
画質がやや良くなかったのだが、十分に見られる画質だ。
「これがディベート?」「座談会じゃないの?」これが私の率直な感想である。

まず、ディベートの定義をはっきりさせよう。
JDA(日本ディベート協会)という団体のHPを参照いただければ、問題が生じず、私にも都合が良い。「情報の著作権はJDAにあります。無断での複製、転載を禁じます。と書いてあるから、気軽に引用する訳に行かない。まあ、"情報"と記載してあるから、ディベートの一般的な定義を引用すること程度は良いのかもしれないけど。

私はディベートの訓練は一回しか受けたことがない。今までの人生で必要無かったからなのだが、そこで得た知識では、以下全くJDAのHPと全く重複するものになります。
(1) 議会等の公的(public)な議論を行う場において、何らかの論点、論題(question)について、(2) 対立する複数の発言者によって議論がなされ、
(3) 多くの場合、議論の採否が議論を聞いていた第三者による投票によって判定される
だから、この番組があくまでもディベート番組というのであれば、NHKのHPで以下の三つの論点について、アンケートを採っているのだから、これを番組に大いに活用すべきだった。
1.日本と韓国 相手の国に対して、親しみを感じますか?感じませんか?
2.日韓の歴史認識の溝にどう向き合うべきだと思いますか?
3.日本と韓国が今後より良い関係を築くためには何が必要だと思いますか?

以上の3つの論点を定めて、20代の若者に議論させるならば、第一の課題では「親しみを感じる」「親しみを感じない」の各発言者群に分けて議論させるべきだろう。

そして、その場合、日本側・韓国側に分けることに関しては疑問を感じざるを得ない。
日本人同士(決して、在日朝鮮人や在日韓国人の"なりすまし日本人"であってはならない)で「(韓国に)親しみを感じる人」「感じない人」に分けて議論し、韓国においても「(日本に)親しみを感じる人」「感じない人」に分けて議論するべきだろう。
第二の課題と第三の課題については、対立意見が出ない可能性もあり、意見は数多く出るのでディベートにはならないだろう。
もし議論するならば、日本に負担を課す意見(「日本が歴史認識を改める。」「日本政府閣僚の靖国参拝を取りやめる。」など)を持つグループと、韓国に負担を課す意見(「韓国が歴史認識を改める。」「韓国の靖国参拝や教科書採択に関する内政干渉を止める。」など)を持つグループに分けて議論させるべきだろう。

ディベートする際、私の経験でも、元々相手の意見に妥当性を感じていたり、議論中に同意したくなることもあったけれど、それを議論中に軽々しく表明してしまったらディベートにならない。そこで敗北である。
一度、自分の主張を明確にしたならば、ディベートが終わるまでは自分の主張を突き通すのである。そのためにも資料や正確な知識が必要である。
そんなことが二時間足らずの番組で可能だっただろうか?

その議論を聞いて視聴者にジャッジさせる。これが一つの方法であろう。

逆に20代の若者にジャッジさせる方法もあった。
議論する人を各世代別、世代を問わずランダムに選ぶ、どちらでも良いが、論点とそれに関する対立意見を明確にしておかなくてはならない。

もちろん、より公的な利害を考えた議論をするためにも、対立意見を持つ各グループ内で、主張の根拠となる資料と知識を事前に集めて、綿密な打ち合わせをしておいてもいいだろう。

(今日はここまで  05/06/24)