<基調講演> 伝統医学臨床評価の現状と未来
           (東京大学大学院薬学系研究科・医薬経済学、津谷喜一郎先生)の講演を聞いて

 実は、いろいろと所用とか交通渋滞に遭い、この講演には遅れてしまったことや、説明されている内容には
統計処理の手法など一般的には結構難解なことも含まれていたので、講演要旨と私WATTYの心に残った
医療哲学的フレーズのみ書くことにいたします。

1.まず、以下の枠内が講演要旨です。

伝統医学への世界的な着目がなされたのは、プライマリー・ヘルス・ケア(primary health Care:PHC)
コンテキストの中である。1978年のWHOとUnicefによるマルマアータ宣言で、PHCはその後の国際保健
分野の基本戦略となり、伝統医学はその一環として「適正使用」(appropriate technology)の一つとして
、国際保健分野での「正統」的地位を占めるようになった。
1990年代後半になると、それまでの医療における「アウトカム・ムープメント」(outcome movement)が、
臨床疫学(clinical epidemiology)の手法をべ−スに「エビデンスに基づく医療」(evidence-based medicine:EBM)という形で世界的な動きとなった。一般にエンドポイント(end point)とよばれる評価のための「物差
し」は、より臨床的な実質的な意味をもつものが使われるべきとされるようになった。薬用植物の成分
研究や薬理学的機序研究などの相対的重要性は低下した。
 同時期に、米国を中心として、相補代替医療(CAM)への注目がにわかに高まった。従来から、WHOなど
で伝統医学の「適正」(appropriate)は何かという議論はあったが、大きな声とはならなかった。評価のため
の方法論の認識の進んだ米国では、ここにEBMの手法が用いられることとなり、この動きが世界に普及しつ
つある。そこでは、エビデンスの強さ(strength of evidence)が問題とされる。1993年より始まった「コクラン
共同計画」(The Cochrane Collaboration)では、すべての医療の分野において、ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をベースとしたシステマチック・レビューとRCTのサーチなどが行なわれ
ている。"Complementary Medicine Field”も設立されている <http://www.compmed.umm.edu/Compmed
/Cochrane/Cochrane.htm
)。
 「有効性」(efficacy)や「効果」(effectiveness)があれば、当然、安全性(safety)の問題がある。日本の医療
用漢方薬エキス製剤は、金額べ−スでは1992年をピークに、その後低下している。その最大の理由は小柴
胡湯の副作用であった。生薬、漢方薬(herbal medicine)の安全性は、従来からその問題が指摘されていた
ものである。WHOの協力センターともなっているウプサラ・モニタリング・センター(Uppsala Monitoring Centerr:UMC)が、Anatomical,Therapeutic and Chemical(ATC)分類とDefined Daily Dose(DDD)を用いて、この分
野の世界的な活動をようやく開始しようとしている。
 生存の質(quality of life:QOL)は、本来、伝統医学の領域から発信すべさコンセプトであったとも思われるが
、癌やリウマチなどを主なフィールドとして発達し、現在広く医療全般につかわれるようになった.生存年(Life Years)とQOLを組みあわせた「質で調査した生存年」(Quality Adjusted Life Years:QALYs)などが開発され
た。各疾患ごとに、QOLレベルを設定し、「健康余命」(Health Life Years)の各国比較がなされた。ここで問題
となってきたのは、各国・各文化における「効用値」(utility).さらには健康のコンセプトのちがいである。1980
年代からあった、健康における"spiritual dimension"の議論は、1990年前後の共産圏諸国の消滅にともない
、イスラム圏から再びWHOの国際的議論の場にもちだされ、QOLとともに大きな意味をしめるようになっている。

2.印象深かったフレーズ。(本当に簡潔に記載します)

サイエンスは信じる信じないの問題ではなく、EVIDENCEの問題である。

臨床試験というのは、(臨床試験の被験者である)その人に良かれと思ってやっている訳でなく、
100万人に必要な情報をつくるためにやっている → そのために同意が必要である。
→ そこで、倫理委員会などを設置して、妥当性をチェックするのである。

Alternative medicineへのモチーフ
直接性 ・・・・・・・・・・・・・・ 自分の体は自分のもの
実存性 ・・・・・・・・・・・・・・ 自分のことは自分で決める
正統医学への不信 ・・・・・ 医学的メネシス

時間が無いのでこれくらいにしておく。